
1988年11月1日から数ヶ月~1年弱ほど生産されたと思われる"550"機種。
1988年11月のPlayer誌の広告は笑いを誘う。
『ビル・ローレンス LIMITED EDITION EX-LIGHT 55,000yenで新発売(55は,おいしい) ビルローレンスEX-LIGHTバージョン。日本登場8年を契機に,BLのコンセプト It's New Vintage を90年代へとブリッジするリミット・プロダクツ。1957年,1962年,1972年,言うまでもなくロック・エポックの年。様々なスーパーメジャー達が羽ばたき,銘機と言われるロックギターも誕生した年。そしてそのエポックに立ち会ってきたのがビル・ローレンスその人。ヴィンテージサウンドのウォームなトーンをパーフェクトに再現するニューテクノロジーPU"ブラックラベル(U.S.MADE)"のオリジン・メーカーだ。EX-LIGHT。そのブラックラベルを搭載してヴィンテージディティールを徹底フォローし たビルの会心作。次もビル,そろそろビルと考えているロックギタリストに,限定販売。(お願い:EX-LIGHTは限定販売に付きレギュラーカタログには 掲載されていません。楽器店で試奏の上,お早めに,ご予約・お買い上げ下さる様お願い申し上げます。)●1988年11月1日,発売開始。 』
楽しんでいただけたでしょうか。
この機種を確認する印はヘッドストックの”EX-Light”の文字である。
軽量を謳うバスウッド材を使っているということだが重量は3.32kg(弦含む),とりわけ軽いというわけでもなく,アルダー材のものと似たような重量である。アルダーの比重は0.43,バスウッドの比重が0.41ということで,とりわけ大きな差が生まれるわけではない。ただ,後述するようにBLシリーズ用のルータリングが施されているところをみると,55000円の価格で売られていた時代にはアルダーだった可能性が高いと私はみている。
このギターに仕様上特にグレードが低いと感じさせる要素はない。なぜ55000円(後に51000円)という安い値段で販売が可能だったのだろう。以下の3つのポイントを挙げたい。
1)アルダーまたはアッシュ材のBLシリーズと完全に同じH-S-Hの切削が施されたボディ
2)時代の要請から外れつつある古典的21フレット仕様ネック
3)古典的21フレットネックには通常は使用されないジャンボフレット
上記から私の次のような推論を導いた。
このギターは材の余剰在庫の活用を考えて企画された製品である。ボディはBL-1以外人気の出なかったBLシリーズの余剰品のアルダー,アッシュはやや高いので使うことを避けたのだろう。余剰在庫が捌けた後は安価なバスウッドを使うことを考えていた。同様に需要の減った21フレットネックとBLシリーズ用の余剰フレット在庫も一気にきれいする。
もちろん間違いかもしれない。当時の実情をご存じの方は情報を頂ければ助かります。(2016.8.17更新)
![]() | ![]() | ![]() |
---|---|---|
![]() | ![]() | ![]() |
![]() |