
1981年製Greco EGF-850 Super Real Series。
GrecoはそれまでGibson社の1968年以降のいわゆるNorlin-ECL時代のレスポール(便宜的に新レスポールと呼ぶ)のコピーモデルを製造していたが,1979年より1958~60年モデル,いわゆる元祖バーストのコピーモデルの製造を始めた。Super Real Seriesはその目的で立ち上げられた。
GrecoやFernandesをバーストレプリカの製造へと向かわせたのは,おそらく東海楽器である。バーストこそが元祖であり最も高品質なレスポールであるという認識は東海楽器のLSシリーズによって日本のギタリストに定着したといっていいだろう。
相対的に時代は新レスポールに厳しい評価を与えたことになる。高い評価はバーストに振り戻された。それは当然といえば当然のことで,バーストと新レスポールの品質の違いはそれほど明らかだった。
ここで断っておきたいが,その法則はGibsonにはついては当てはまるということである。日本の新レスポールは明らかに本家を凌駕していた。Gibsonのように意図的に品質を落とされた結果として作られたのではなく,最初から良いギターを作ろうとして新レスポールを作り続けたのである。そうなければ日本のギターはlawsuit guitar(訴訟ギター)には成り得なかったのである。訴訟を起こされたということは,それは確かに良くないことではあろう,しかしそれは同時に日本のギターの高い品質にGibsonが危機感を感じていたことの証左なのである。
この時期のグレコレスポールは指板やネックの材質や構造において機種を跨いで様々な移行型が存在しているらしく仕様がまぜこぜになっているという。グレードを確認するひとつの方法は指板のインレイを確認することである。白蝶貝であればEGF-850以上だといえる。
EGF-850にはふたつのピックアップ仕様がある。早期のものにはPU-2,その後Screamin’が搭載されている。1982年以降のScreamin’にはベースに"Screamin' 1982”のデカールが貼られているが,それ以前にものにはない。しかしPU-2にはベースに刻印があるため区別は可能だ。一応直流抵抗値を測定してみた。ネック7.81kΩ,ブリッジ7.62kΩ,手元にあるデカール付きScreamin'のそれはネック7.70kΩ,ブリッジ7.55kΩという値で近接している。
トップは美しいが,残念ながらこのクラスでは張りトップである。4.22kg(弦を含む)。(2016.8.24更新)。
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