
1980年代前半,CDという新しいデジタルメディアに影響され音楽は変化した。人々の耳が肥えてきたのである。ギターもその影響を避けられなかった。そんな中,改造に対する柔軟性が高いストラトキャスターが注目され,私が勝手に命名した「ネオ・ストラト化」が進んでいった。
当初はいわゆる"SSH"に代表されるPUのリプレイスメントから始まり,やがてFloyd Roseトレモロユニットの登場によってネオ・ストラトの進歩は急激に加速した。だがそのようにして変化したストラトキャスターは既にストラトキャスターではなくなっていた。ギター史系統図の新しい枝が分岐したのである。
ここでネオ・ストラト化に強く影響を及ぼした二人のギタリストを言及しておきたい。
ひとりは誰もが認める天才ギタリストEdward Van Halen,彼独自のギター改造がネオストラトの道を拓いたといってもいいだろう。彼はネックを交換し,PUをボディーにダイレクトマウントし,弦をロックすることの意味を知らしめた。
もうひとりの天才はTOTOのギタリストSteve Lukather,高性能・ハイファイデリティー化という面では彼の影響が最も大きい。ノイズを抑えたアクティブPUであるEMGの採用は彼がスタジオミュージシャンであったからという理由付けは納得できるだろう。 彼によってネオストラトは万能高性能ギターとしてロックギタリストのみならずスタジオ&フュージョンギタリストにも広く受け入れらるようになったといっていいだろう。
その後数年間ネオストラトは全盛を極めたが衰退も早かった。
話が長くなった。
このギターは1985年のカタログに記載されている。当時の定価は13.5万円,量産品としては高級品だ。同じカタログで EMG-SAアッセンブリーが53000円で掲載されている。高い値段はやむを得ないところだ。カタログ上はアルダーボディーということになっているが,センかアッシュのようだ。トレモロユニットは自社製のHeadCrasherというモデル,オリジナルFloyed Roseと異なり弦を切る必要がなく簡便である。重量は3.98kg(弦を含む)。(2016.8.21更新)
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