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HIKI

DAORE

前期SLシリーズの最廉価モデル。

1970年代というのは特にギター人気が高かった時代である。中学生男子の10〜20%ほどはギターを所有していたように思う。エレキギターよりもアコースティックギターを所有者が多かった。

学生向けのバイトなどほとんどない時代だったから,所有するギターのグレードでその家庭の財布の具合が想像できた。エレキギターであれば大抵3〜5万円クラスが殆どで,6万円を超えるようなモデルは一部の裕福な家庭に限られていた。

父が私に最初に買ったギターはGreco EG-380という38000円の最廉価モデルだった。レスポールなのにデタッチャブルネックで中空構造をもっていて,セミアコのような音がしていた。

このギターは同じ価格でやはりデタッチャブルネックだが,しっかりとした杢トップを持っていて,普通のレスポールの音がする。あの頃は格好が第一でギターの構造などどうでもよかったので,見た目が本物っぽいグレコを選んだわけだが,ロックに使うのならこのギターのほうが適していたことになる。

前期型はラッカーフィニッシュなので,経年変化によってよい味が出てきている。

3ピーストップには玉目のある良材が使用されている。バックは2層のアガチス。アガチスはナンヨウスギ科の針葉樹で,最も古い樹木と呼ばれている。ジュラ紀に世界に広がり,現在はインドネシアやパプアニューギニアを中心に主に南半球側に分布している。ニュージーランドが誇る巨木カウリはアガチスである。

アガチスはこの時代の安価なギターに使われていたが,マホガニーと比べて音が悪いかというと,アガチスバックのギターがこれ一つだけということもあって,私の耳にはちょっと分からない。少なくともこのギターは結構良く鳴っている。(2016.8.28更新)

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