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HIKI

DAORE

Tokai TLS200 CS stamp serial 1983年製

Tokaiレスポールの型番は1983年からLSからTLSへと変更されている。そこにどのような意味を持たせたかったのかは想像する他ないが,会社更生法の適用を経て東海楽器が再出発した時期と重なることは興味深い。

このギターはヘッド周りの傷も多くプレイヤーズコンディションである。ヘッド裏にはグレードを表す"200"のシールは残っていないが,金色に輝く"Tokai"のロゴ,そして天衣無縫のタイガーメイプルのトップがフラッグシップであることを表すといっても異論はないだろう。

ペグはGibson製のものに交換されている。ペグの一部を外して確認してみると純正のKlusonタイプのペグの突起が収まる凹みが残っていた。ペグの穴は丁寧に広げられていて交換はプロのリペアマンの仕事のようである。換装されたペグはドイツのSchaller社でOEM生産されたものである。いつの時代のものかは確認できなかった。

 

部品やサーキットが若干変更されているように見えた。ブリッジPUはトーンノブでコイルタップできる。このような純正仕様があるとは聞いたことがない。換装されたと考えるのが普通だろう。ピックアップを確認してみるとネックはDimarzio PAF,ブリッジはDuncan59である。カタログ上はDuncan59が標準仕様になっている。

 

しかしどうもおかしい。コントロールキャビティにハンダを剥がした跡がないのである。もちろん、40年以上の間に腕のよいリペアマンが手を入れた可能性まで否定することはできない。しかし、ペグ交換では穴の拡大という明らかな痕跡が残っているのに対し、電装系にはそれに相当する痕跡が見つからない。しかもブリッジのDuncan 59自体は1983年頃のTLS-200のカタログ仕様と一致している。ネックのDiMarzio PAFとブリッジのDuncan 59、さらにコイルタップという一見ちぐはぐな構成は、後年の改造ではなく、受注時からの特殊仕様だったのではないか――そんな可能性が浮かんでくる。

ネックの補修歴がありネック裏に残った傷が気になったので親元である東海楽器製造(株)に補修を依頼した。

ネックに破損歴のあるギターはコレクター目線では一般には傷物として扱われている,これはやむを得ないことだ。しかし私は偶発的事故で破損したネックの補修歴はギターの本質的価値への影響を低く見るほうである。多くの一流ミュージシャンのギターにもネックのリペア歴のあるものは多い。1億円を超える額で落札された故Gary MooreのGreenyにもネックの補修歴がある。

このギターのシリアルナンバーはスタンプで押されている。私の知っている範囲で長野工場で作られた1980/1981年製LS-50/60以外でスタンプシリアルを持つものはこの個体しかない。果たしてこのギターも長野工場で作られたのだろうか。

Historic Collectionなどで見慣れた非常に目の細かいタイガーストライプだが,当時の国産レスポールでは非常に珍しい。重量は4.06Kgとやや軽め(弦を含む)。 (2026.8.18更新)

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