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H.S.Anderson Stratocaster slab board 1976
1976年に製作されたと考えられるH.S.Andersonのストラトタイプ。
ラージヘッドタイプのものは比較的見かけるがスモールヘッドのものはかなりレア。フロント・ピックアップのキャビティ、およびネックポケットに接するネック面には、いずれも「1976.2.21 M. Shinoda」と読める記載がある。H.S.Andersonの他個体にも確認される“M. Shinoda”のサインと同系統のもので、製作工程に関わった人物の署名または検品記録である可能性が高い。ただし、現時点ではその人物像や担当工程を特定できる資料には至っていない。
ネックは虎目の現れたメイプル材で、ローズウッド指板は接着面が平面となるいわゆるスラブボード仕様である。1959年頃から1962年頃までのFenderに見られる構造と同様で、指板材そのものにもかなりの厚みがある。1970年代の国産ストラトタイプでは、このような明瞭なスラブボードは少なくとも一般的な仕様ではない。当時すでにPre-CBS Fenderを意識して採用されたものなのか、あるいはH.S.Anderson独自の製造工程によるものなのかは不明であるが、この個体の特徴の一つである。
ボディは木目から判断する限りアルダーと思われ、3トーン系のサンバースト仕上げ。ピックガードは交換されている。ピックアップを含むアッセンブリーについては、オリジナルのままか交換されているか判然としない。
音色は、ストラトタイプとしては高域の角が比較的穏やかで、やや丸みのある印象を受ける。厚いローズウッドのスラブ指板による影響なのか、アルダーボディの性質によるものなのか、あるいは両者を含めた個体全体の特性なのかを切り分けることはできない。ただ、一般的な70年代国産ストラトの硬質なイメージとはやや異なる、落ち着いた響きを持つ個体である。
「1976.2.21 M. Shinoda」という製作時の痕跡、虎目のメイプルネック、そして当時の国産品としては珍しいスラブボード。H.S.Andersonというブランドが、単なるFenderコピーとは少し異なる作り込みを行っていたことをうかがわせる一本である。(2026.8.15)
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