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Kawai Rockoon RA-65

Kawai RA-65は、1990年前後に登場したコンパクトなエレキギター。非対称のダブルカッタウェイ、H-S-Hのピックアップ構成、そして独特な形状のピックガードなど、その姿を見ると1985年頃に発表されたMusic Man Silhouetteをかなり意識していたのではないかと思わせる。登場時期を考えても十分に整合するし全体の雰囲気には明らかに共通するものがある。

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ただし、実際に手にしてみるとRA-65は単なるSilhouetteのコピーとは少し違う印象を受ける。Silhouetteが25.5インチ、約648mmのロングスケールなのに対し、RA-65はのスケール長は約628mmで、いわゆるミディアムスケールに相当する。全長は約95cmで、ギターそのものもかなりコンパクトである。

 

この違いは実際に弾くとよく分かる。ボディが小ぶりで抱えやすいうえ、ミディアムスケールのためコードも押さえやすく、手の小さい人でもかなり扱いやすい。実際に持ってみると「これは小柄な人や女性にも丁度いいギターだな」と感じる。単に見た目が小さいだけでなく、演奏する人の身体に自然に収まるようなサイズ感。

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ここには、当時のカワイなりの意図があったのではないかと想像する。Silhouetteの先進的なデザインやH-S-Hという実用性の高い構成を取り入れながら、演奏性については日本人にも馴染みやすいミディアムスケールに変更する。そう考えると、RA-65は海外製ギターの形をそのまま模倣したというより、Silhouetteのコンセプトをカワイなりに解釈し直したモデルと見るほうがしっくりくる。

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もうひとつ興味深いのがボディ材。当時のカタログではRA-65のボディ材は「セン」とされている。しかし、この個体を実際に見ると、重量感や材の密度、ネックポケットに露出した木部の導管の細かさなどから、センというよりはソフトメイプルではないかという印象を受ける。もちろん、外観だけで樹種を断定することはできないが、少なくともカタログ表記とは異なる材が使われていた可能性は考えてよいだろう。

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このことも、河合楽器というメーカーの成り立ちを考えると、それほど不自然な話ではない。河合楽器はもともとピアノを中心とした大規模な木工メーカーであり、ギター専業メーカーとは異なる木材調達や加工の基盤を持っていた。仮に当時、カタログで予定されていたセンの調達が難しく、一方で自社の楽器製造に用いるソフトメイプル系の材を安定して確保できる状況にあったとすれば、それをギターのボディ材として転用したとしてもメーカーの立ち位置としては十分に理解できる。実際、当時の国産ストラトタイプのボディ材として「ソフトメイプル」というのは、他社ではほぼ使われていない。その点でも、もしRA-65にソフトメイプルが使われているとすれば、それは河合楽器という会社ならではの事情を反映したものだったという推定は説得力を持つのではないだろうか。

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見た目には1980年代末から1990年代初頭らしいSuper Stratの雰囲気があるが、弾いてみると意外なほど素直で取り回しがよく、気軽に手に取りやすいギターである。Silhouetteを思わせる外観、独自のミディアムスケール、そしてカタログ表記とは異なる可能性を感じさせるボディ材。RA-65は注目されるギターではなかったようだが,当時のカワイのギター作りを考えるうえでも、なかなか興味深い一台だといえる。(2026.9.9)

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