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H.S.Anderson
H.S.Andersonは1973年、グレコ、アリア、フェルナンデスなど数多くのメーカーでギターや周辺機器の企画・設計に携わったことで知られる椎野秀聰氏が、モリダイラ楽器と共同で立ち上げたブランドである。後年、Mad Catが故Princeの愛器として知られるようになり、現在では海外にも熱心な愛好家がいる。
このブランドには、もうひとつ面白い逸話がある。
椎野氏の著書『僕らが作ったギターの名器』によれば、H.S.Andersonは独立した大きな工場を構えていたわけではなく、モリダイラ本社工場から少し離れた小さな工房で製作されていたという。そこで働いていたのは、モリダイラでも腕利きとされた木工と塗装の職人各一名、それに若いアシスタント一名という、わずか三人のチームだったという。しかも、この二人の職人は腕は抜群だったものの相当に個性が強く、本社工場では少々扱いにくい存在でもあったらしい。それがH.S.Andersonの工房に移ると、水を得た魚のように仕事を始めたという。椎野氏が記している彼らのギター製作技術は、文字どおり職人芸と呼びたくなるようなものだったらしい。
そしてオリジナルのH.S.Andersonのギターには製造を手掛けた職人の名前と思われるサインも入っている。サインを入れるということはこのギターについて自分個人がが責任を負っていることを宣言することを意味する。その意味を感じながらこのギターを手にすると,量産品でありながら,他のギターとは何か違う重みを感じずにはいられない。(2026.9.20)
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